『洗う』ことを疑う

『洗う』ことの意味を考えてみる

「エッ、何を言っているの?クリーニングって洗うことでしょ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、本当にすべてを洗う必要があるのでしょうか?クリーニングに出すことを迷ったご経験はありませんか? 

                                     

例1 お出掛け用のコートの場合

今シーズン袖を通したのは、ほんの数回だけ。しかも、移動は車だった。

本当に大切にしているコートなので、来年も気持ちよく着たいな。...どうしよう。

例2 FRAYのドレスシャツの場合

勝負服のワイシャツ。短時間しか着ていないので、首周りの汚れが少し気になる程度だけど、次に着るのはしばらく先になるし、キレイにしておきたいな。

でも、これって、普段着のワイシャツみたいに全体を洗う必要があるの?自分でも洗えそうだけど、アイロンが掛けられないよな。...どうしよう。

例3 クリーニング店で洋服を台無しにされたトラウマから抜け出せない方の場合

アイロン掛けも嫌いじゃないし、なるべく自分で洗うようにしている。でも、どうしても自分では落とせないシミがある。...どうしよう。

 

クリーニングに出すか、出さないか、お金が惜しくて迷われているわけではないですよね。

最適なクリーニング方法

私たちは、お客様のそのお品物にとっての最適なクリーニング方法をご提案します。

 

最適なクリーニング方法は、

                          

ご着用の状況、汚れ・シミの状態、素材の特性、デザインの特徴を観察し、場合によっては記録する

お客様のその品物に対する思いを感じ取り、ご要望などの必要なことをお聞きして確認する

自社の技術でどうしたらご満足いただける仕上がりにできるか、クリーニングプランを企画して、ご提案する

以上の手順で受付時に進め、お客様のご納得と同意をもとにクリーニングを実施いたします。

 

クリーニングとは違う 『メンテナンス』について

ここで、クリーニングという語句を、維持・管理を意味する『メンテナンス』と言い換えて、先述の例で具体的に話を進めていきましょう。

例1のコートの場合

ブラシ掛けが最適です。埃を落としながら、毛並みを整えて艶を出しましょう。

コートの素材によって、固い豚毛のブラシと柔らかい馬の尻尾毛のブラシを使い分けます。  

                                     

例2のシャツの場合

柔らかい生地の風合いを損ねないように、部分的に衿の汚れを落とします。

全体は優しく手洗いするのはいかがですか?糊は付けない方が良いですね。

立体的な裁断と縫製がされたシャツですので、ハンドアイロンで復元します。

                               

例3の場合

不信感の原因は、クリーニング店が受付時にお品物を良く拝見せず、お品物に合ったクリーニングの方法をご提案しなかったことだと思います。

全体を洗うことなく、部分的にシミ抜きをいたします。また、シミが付きにくくなる加工をお勧めします。


いかがですか?

メンテナンスでは、『洗う』という行為は、必ずしも最適な手段とは言えないことがお分かりいただけると思います。

また、時にはお客様の言外の真のご要望を推察して、『洗う』以外の最適な処置方法をご提案する場合もあります。

受付者の知識と経験に基づく、提案力とコミュニケーション力が重要であることもお分かりいただけたのではないでしょうか。

メンテナンスとは、無条件に『洗う』ことを前提とした現状のクリーニングとは違い、診断に基づく「お手入れ」の方法をご提案して、お客様のご納得と同意をもとに実施することです。

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